コラム

医療・介護現場の「紙」にかかる時間とコスト:業務効率化を阻む壁と解決の糸口

医療・介護の最前線では、日々多くの命や生活を支える活動が行われています。
しかし、その裏側で職員の大きな負担となっているのが、膨大な「紙」の処理です。

今回は、医療・介護現場における事務作業の課題を整理し、「本来の業務」に専念できる環境を作るためのヒントをお届けします。

多くの医療・介護現場が抱える、紙帳票の課題

医療業界全体でDXが叫ばれ、電子カルテの普及も進んでいます。
しかし、依然として「紙の業務」は職員の皆様の見えない負担となって重くのしかかり、人的リソースはもちろん、アウトソーシングなどを利用している場合は多大なコストも掛かっているのが実情です。

外部から届く多種多様な書類や大量の納品書や請求書、手書きの健診票や介護記録など、どうしてもデジタル化しきれない「アナログの壁」が至る所に存在するからです。

ここでは、医療・介護の現場で特に深刻化している3つの具体的な課題を掘り下げます。

1. 大量の備品を管理する「請求書・納品書」のデータ化

医療・介護の現場では、多種多様な医療機器や消耗品、備品を扱っており、日々届く納品書や請求書は膨大な数にのぼります。これらの情報を院内システムに反映させるため、多くの施設では今なお「目視による確認」と「手書き・手入力」の作業を余儀なくされています。

小規模な施設では、限られた人員が本来の業務の合間を縫って入力作業を行わなければならず、一人ひとりの業務負荷は相対的に非常に重くなっています。

また、多拠点展開をしている法人の場合は、各拠点の購入品や価格を比較・集計することでコスト削減のための一括購買や、業者の選定を実施している事も多いでしょう。しかし、そのためには紙で届いた情報を一つひとつデータ化し、比較が可能な状態に整えなければなりません。

この「データ化の前処理」そのものに膨大な人的リソースやコストが割かれているのが実情です。

2. カルテだけじゃない。健康診断や検査における「手入力」

「電子カルテを導入済みだから事務効率化は進んでいる」とお考えの施設でも、健康診断や各種検査業務には意外な盲点が潜んでいます。

一般的な健診フローでは、受診者が紙の健診票を持ち歩き、各検査ブースで担当者が結果を手書きで記入します。最終的に回収された健診票は、事務担当者の手によってまとめてシステムへ転記されますが、この「紙からデジタルへの転記」プロセスが大きなボトルネックとなります。

転記ミスは診断結果の信頼性を揺るがす重大なリスクとなるため、二重三重のチェック体制が必要となり、結果として膨大な工数が発生します。こうした事務負担を避けるためにデータ入力を外部委託(アウトソーシング)しているケースも見られますが、今度はその委託費用が経営を圧迫するという、負のループに陥っている現場も少なくありません。

また、上記のほかにも院内アンケートや入院時・手術時等の同意書など、患者様に記載してもらう都合でアナログにせざるを得ないものも多く存在していることでしょう。

3. 介護・看護における「現場の記録」という課題

訪問介護や看護の現場では、スタッフがケアの質を高めるための記録を重視していますが、その「記録のデータ化」が大きな壁となっています。

現場スタッフは訪問先で刻一刻と変わる状況を手書きでメモし、その内容を改めて管理システムに打ち込みます。この「現場での手書き」と「事務所での入力」という二重作業が、スタッフの労働時間を直接的に押し上げています。

こうしたデータ化の作業は、往々にして移動時間や貴重な休憩時間を削って行われることが多く、スタッフの精神的・肉体的な疲弊に直結しています。人手不足が深刻な介護業界において、こうした「事務作業の負担」はスタッフの離職を招く要因の一つとなっており、現場の定着率向上を阻む深刻な経営課題といえます。

課題解決の鍵は「AI-OCR」による自動化

こうした「紙にまつわる課題」を解決する手段として、注目されているのがAI-OCRです。OCR(Optical Character Reader または Recognition )とは、画像や文書などに含まれる文字や数字をコンピュータが認識し、テキストデータとして取り込む技術です。

こうした「紙にまつわる課題」を解決する手段として、注目されているのがAI-OCRです。OCR(Optical Character Reader または Recognition )とは、画像や文書などに含まれる文字や数字をコンピュータが認識し、テキストデータとして取り込む技術です。

医療・介護の現場でAI-OCRを活用することで、以下のような変化が期待できます。

  • 入力時間の劇的削減: 1項目ずつ手入力していた作業が、スキャンするだけでデータ化されます。
  • 精度の向上: 人為的な転記ミスを最小限に抑え、チェック作業のストレスや工数を軽減します。
  • コストの最適化: 外部委託に頼っていたデータ化を内製化でき、コストダウンに繋がります。

また、これまでのOCR技術を知っている方こそ、最新の「AI-OCR」の進化に驚かれるかもしれません。従来の技術と何が違い、なぜ現場の負担を劇的に減らせるのか、3つのポイントを解説します。

1. 「手書き文字」への圧倒的な対応力

医療・介護の現場で最も高いハードルとなるのが、患者様やスタッフが記入する「手書き」の書類です。 かつてのOCRは、決まった形の活字しか読めず、癖のある手書き文字は誤変換だらけでした。しかし、AI-OCRは膨大な筆跡データを学習しています。多少の癖字や枠からはみ出した文字でも、文脈を判断して高い精度でデータ化します。

ここがポイント!
「手書きだから無理」と諦めていた問診票や訪問記録が、
スキャンひとつで「そのまま使えるデータ」に変わります。

2. あらゆる記入形式を網羅する「高い汎用性」

医療・介護の現場で扱われる書類は、フリーピッチの手書き・チェックマーク・バーコードなど、様々な記入形式が使用されています。AI-OCRは、こうしたアナログ特有の複雑な記入形式を正確にデジタルデータへと変換する、優れた対応力を備えています。

  • バーコード・QRコード: 患者ID、検体番号、帳票種別などを識別するためのコード類など
  • フリーピッチ(手書き文字): 枠内に自由に書かれた医師やスタッフのコメント・アンケートの自由記入欄
  • チェックマーク・丸囲み: 健診票の「異常の有無」のチェックや、問診票の「はい・いいえ」を囲む丸印など

ここがポイント!
現場で使い慣れた「そのままの紙」の運用を変える必要はありません。
多様な表現形式が混在する医療・介護の帳票から、必要な情報だけを確実に抽出することで、
事務作業の精度とスピードを飛躍的に向上させます。

3. 外部委託は不要!事務作業時間を「最大90%」削減

手入力の場合、1枚の伝票を入力して確認するのに数分かかっていた作業が、AI-OCRなら数秒で完了します。 例えば、月に30時間かかっていた請求書の突合業務が、わずか3時間に短縮されたというケースもあります。また、ただ入力にかかっていた時間やコストが短縮されるだけではなく、人的な入力ミスも大幅に削減でき、チェックやミスのリカバリーに使う時間も短縮されます。

ここがポイント!
 削減した時間を、患者様とのコミュニケーションや、より専門性の高いケアプランの作成など、
人間にしかできない業務に充てることができます。

OCR運用を成功させる「スキャン」の秘訣

AI-OCRで高い精度と効率を実現するためには、ソフトウェアの性能だけでなく、紙を読み取る「スキャナー」の選択も非常に重要なポイントです。

特に医療・介護の現場では、A4サイズではない変形サイズの納品書や、薄く破れやすい伝票、あるいは現場で扱われダメージを受けた書類などが多く存在します。これらを一般的な事務用複合機で無理に読み取ろうとすると、紙詰まりや画像の劣化が起きやすく、結果としてデータ化の精度を下げてしまう原因になります。

また、大量の書類を事務所の複合機で処理しようとすると、コピーやFAXを待つ他のスタッフの業務を長時間止めてしまうことになり、利用自体が躊躇されてしまうケースも少なくありません。

そこで、データ化の運用をスムーズにするために推奨されるのが「専用スキャナー」の活用です。専用機を導入することで、以下のようなメリットが得られます。

  • デスクサイドで完結する利便性:コンパクトな専用機を自席に設置すれば、複合機の占有を気にすることなく、隙間時間を利用して効率的にデータ化を進めることが可能です。移動の手間も省け、事務作業の心理的なハードルも大きく下がります。
  • 多様な紙への対応力:専用機ならではの優れた給紙性能により、ダメージのある紙や薄紙、サイズの異なる書類もスムーズに読み取ることができます。これにより、スキャンエラーによる手直しを最小限に抑え、読み取り精度を最大限に引き出します。

「現場の負担」を「安心」に変えるパートナーとして

医療・介護の現場は、一分一秒を争う場面や、一文字のミスが許されない緊張感の中にあります。だからこそ、データ化のような付随業務は、可能な限りテクノロジーに任せるべきだと私たちは考えます。

私たち、アライズイノベーションはAI-OCR「AIReadを通じて、これまで多くの医療機関や介護施設の事務効率化を支援してきました。単なるソフトウェアの提供に留まらず、現場の運用に合わせた「スキャナパック」などのご提案とあわせて、導入後のスムーズな運用定着までトータルでサポートいたします。

こうした取り組みは、特に紙のカルテ運用とデジタル化の狭間で悩まれている施設様や、拠点を跨ぐ膨大な書類管理に疲弊されている事務部門の皆様から、高い評価をいただいております。

「今の運用を変えるのは大変そう」「自社の帳票でも読み取れるだろうか」といった不安をお持ちの方も、まずは現在のお困りごとをご相談ください。
現場の皆様が、紙の処理ではなく、目の前の患者様や利用者様に集中できる環境づくりを、私たちがサポートいたします。