毎月6,000枚以上のFAXをAI-OCRで読み取り
ファイリング業務を自動化
業種:介護・福祉
製品:AIRead、AIRead ETL Option
ベルメディカルケア株式会社は「医療を担う人達と健康を願う人達のために、医療機器・医療材料の安定供給を通じて、安全と安心を届けること」を目的に、2011年6月、鈴与株式会社の全額出資で設立された。静岡県内で高いシェアを持つ同社は、県内に8拠点を構え医療機関、福祉施設、介護施設およびその関連施設向けに医療関連機器や医療材料の販売、福祉機器のレンタル等を手掛けている。アナログな業務が多い医療・介護業界において、ICTやロボット等の商材を積極的に取り入れ提供している。
そんなベルメディカルケアは、福祉機器のレンタル先のケアマネージャーから提供票がFAXで毎月約6,000枚送られてくる。この提供票を電子化し管理業務の効率化を果たす目的で、2022年にAI-OCR「AIRead」とETLツール「AIRead ETL Option」、RPAツールを導入した。
同社が実現した業務効率化の内容とその効果について、ベルメディカルケア株式会社 常務取締役 管理本部長 大野 年弘 氏、同 リラックス事業部 事業部長 松永 高純 氏、鈴与商事株式会社 DXソリューション営業部 デジタルソリューション営業課 課長代理 宇佐美 徹 氏にお話を伺った。
毎月のデータ入力業務が大きな負担に
ベルメディカルケアでは、福祉機器のレンタル、販売業務に専用のパッケージソフトを使用している。毎月、ケアマネージャーからFAXで送られてくる提供票のデータ入力業務もその一つだ。FAXで受領した紙の提供票を各拠点の担当者が手作業で入力し、紙カルテとしてロッカーに保管するという業務は同社にとって大きな負担となっていた。
そこで同社はAI-OCRとRPAを用いてデータ入力業務の負担を軽減できないかと考え、手書き文字の読み取り精度が高いと定評のクラウド型AI-OCRとRPAを導入し利用を開始した。ところが、データ化したい提供票はケアマネージャーごとにレイアウトが微妙に異なり、読み取りたい項目の位置が定まっていなかった。レイアウトを分析した結果、AI-OCR側で800種類以上の設定を行う必要があることがわかった。
また提供票とAI-OCRの設定の紐づけも、それぞれのレイアウトが非常に似通っているためAI-OCRで自動仕分けができず、担当者が提供票の画像を見ながらAI-OCRのレイアウトを選択する操作が必要であった。同社では別のAI-OCRも試したが同様の問題は解消できず、現場ではAI-OCRを使用するより手で入力する方が早いという結論になっていた。
異なるレイアウトでも読み取れる「AIRead」
ベルメディカルケアの大野氏、松永氏から状況を聞いた鈴与商事の宇佐美氏は、同じ鈴与グループでAI-OCRを提供しているアライズイノベーションの「AIRead」であればこの課題を解決できるのではないかと考え、2021年の秋ごろアライズイノベーションに相談をした。
アライズイノベーションからは、レイアウトが異なり読み取り位置が決まっていない帳票でも、ルール指定が可能な「AIRead」であれば同一の設定で読み取りは可能であるとの回答を得た。また提供票を自動的に電子保存するための電子ファイル名のリネーム機能も、「AIRead ETL Option」を使用すれば可能であるとの提案を受けた。そこで宇佐美氏はベルメディカルケアから十数パターンの提供票を受領し、アライズイノベーションに読み取りテストを依頼した。
「AIRead」による読み取りテストの結果は良好であったことから、ベルメディカルケアは2022年初頭より導入を開始、同年春ごろより2拠点での試験利用を開始した。
「導入当初は8割程度の正解率だったが、間違っているパターンをアライズ社に報告し設定をチューニングしてもらうことで、最終的には9割以上の正解率で読み取りデータ化が実現できている。また読み取り結果とマスタデータを自動照合しており、読み取り誤りの対象データは一覧表で確認できる。
これまでは手作業でAI-OCRの操作を行っていたので、全て自動的に読み取り・リネーム保存されてエラー結果が出てくる動作には、担当者も感動していた」(松永氏)。
電子カルテ化と業務効率化を実現
これにより同社は、8拠点で行っていた提供票のデータ入力、ファイリング作業に係る時間を削減することに成功した。これまで各拠点に届くFAXの提供票を、各拠点の担当者が紙を見ながらシステムに入力し紙カルテをキャビネットに保管していたが、FAXは全て電子データで受信しサーバに保存されるよう変更した。
また電子データを「AIRead」が読み取り「AIRead ETL Option」で提供票に記載された文字にファイル名をリネーム保存し、RPAで文書管理システムに保存するところまでを自動化した。担当者は実行結果の一覧表を確認し、誤り(マスタと参照しエラーとなったデータ)を確認、修正するのみとなる。
これにより、これまで提供票1枚あたり1分程度かかっていた作業時間の75%を削減し、年間900時間程度 の削減効果となった。
「作業時間の削減に加え、紙から電子化への変更で保管場所の確保が不要になった。また、本社から全ての拠点の提供票を参照できるようになったことは大きな効果だ」(大野氏)。
導入時の状況
導入プロジェクトはコロナ禍の真っ只中ということもあり、検討から利用開始まで、そのほとんどがオンラインで行われた。コミュニケーションは主にWeb会議とメールで行っていたが、プロジェクトの課題管理や進捗管理はクラウド型のプロジェクト管理サービスを使用した。
「最初は使い方がわからず、また仕組みや用語が分からないので理解に苦労することがあった。慣れてしまえば問題なく、いまは現場の担当者が「AIRead」を駆使して設定を行っている」(松永氏)。
「ベルメディカルケアさま、アライズイノベーション、私たち(鈴与商事)の3社が連携し進めていくうえで、アライズイノベーションには様々な手段を駆使して迅速、確実、丁寧に対応してもらい、大変心強かった」(宇佐美氏)。
今後の計画
同社の直近の計画は電子帳簿保存法への対応だが、今回のAI-OCRとRPAの導入で、レンタル業務において最も量の多い提供票を電子保存し検索性を高めることができた。
レンタル業務においては、このほかに毎月500枚ほど受領する介護保険証の登録、更新業務がある。「発行する自治体ごとにレイアウトが異なるので一般的なAI-OCRでは読み取りが難しいが、「AIRead」であれば解決できると考えている」(松永氏)。「AIRead」への期待は大きい。
「現状はオンプレミス環境で運用しているが、より可用性、保守性の高い環境で利用していきたい」(大野氏)。
アナログな業務が多い医療・介護業界で、同社はこれからもICTを活用し業務の効率化と事業の拡大を実現していくことだろう。
導入ソリューション
お客様情報
会社名 | ベルメディカルケア株式会社 |
本社 | 静岡県静岡市清水区松原町5-22 |
Webサイト | https://www.bellmc.co.jp/ |