AI OCR技術は、紙の書類や画像からテキストデータを自動的に抽出し業務を効率化するための強力なツールです。
しかし、導入後に課題を感じる方も少なくありません。本記事では、OCRの読み取り精度を向上させるための手段をご紹介します。
OCR導入後のよくある課題
多くの企業がOCR製品を導入した際に直面する課題の一つとして「確認作業が減らない」という点があります。
工数や人員を削減するためにOCR製品を導入したのに、確認や修正が多く結局時間がかかってしまうのです。
これは、読み取り精度が十分でないことが大きな原因の一つです。読み取り精度を向上させることが、この課題を解決する鍵となります。
読み取り精度を向上させる4つの手段
とはいえ、昨今のOCR製品の読み取り精度は99%程と非常に高まってきているため、機能面だけでは読み取り精度の向上には限界があります。
そこで、OCR製品の選定以外にできる読み取り精度向上の方法を4つ紹介します。
1.帳票そのものの様式を変える
帳票とは、データを記録するための書類やフォームのことです。高精度なOCR製品でも、高精度で読みやすい様式とそうでない様式があります。
それにあわせて帳票のデザインや様式を工夫することで、OCRの読み取り精度を向上させることができます。
読み取り精度向上のための変更例
- 種類ごとの様式を統一させる
同じ種類で複数様式になっていると誤読や選別の手間が発生しやすくなります。
- 項目の欄をゆとりのある縦横比・サイズにする
文字同士や枠が近い、もしくは接触していると誤読の原因になりやすいです。
- 項目ごとに枠を設ける、枠を細かくする
座標指定の場合には、目印となる枠があることで位置合わせの精度が向上します。
ふりがなと名前を一つの枠ではなく分けたり、電話番号や郵便番号などはハシゴ欄にすることで読み取りやすくなります。
- 漢字・ひらがなよりも、カタカナ・数字・アルファベットを使う
ふりがな等はカタカナ指定にする、日付を西暦にする、商品名ではなく品番を記載するなど、
よりシンプルな表記にすることで読み取りの精度が向上します。
- 丸囲みではなくチェックボックスを使用
大きさのばらつきや他の選択肢への接触が発生しやすい丸囲みよりも、
決まった箇所にチェックを入れるチェックボックスの方が正確な読み取りをしやすいです。
- 手書き部分を減らす
AI‐OCRを用いても、手書きよりも活字の方が読み取り精度は高くなります。
単位や記号などを事前に記載したり、選択式にするなど手書きする部分を減らす事で精度を向上できます。
2.スキャナーを変える
帳票自体に問題がない場合や、先方から受け取る帳票など様式に手を入れる事が出来ない場合は、帳票を鮮明にデータ化することも一つの手段です。
高性能なOCR製品でも、読み取るデータが不鮮明な場合は読み取り精度が低下します。
高品質なスキャナーを使用することで折シワやシワの影が軽減され、傾きも補正されるのでデータが鮮明になり、細かい文字や図形も正確に読み取ることができます。
また、スキャン時の光の反射や影を減らすために、適切な設定や照明環境を整えることも重要です。
3.他データとの連携
読み取り精度自体の向上とは少し変わりますが、「確認作業を減らす」というのが目的であればオプションを使用して他データと連携するのも一つの手段です。
AI OCR製品「AIRead」では、AIRead ETLオプションを使用することで、社内の他データと突合させて自動チェックを行うことができます。
例えば、顧客データベースと連携させることで、OCRが読み取ったデータが正しいかどうかを自動的に確認することができます。
これにより、手動での確認作業を大幅に減らすことができます。
4.BPOサービスとの組み合わせ
確認作業を減らすのであれば、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを利用するのも有効です。
BPOサービスとは、業務プロセスを外部の専門業者に委託することです。
例えば、専門のデータ入力業者にAI OCRでの読取りと結果の確認修正までをワンストップで依頼することで、精度の高いデータを得ることができます。
また、BPO業者は最新の技術やノウハウを持っているため、効率的に作業を進めることができます。
コストは掛かりますが、より正確なデータを作る事ができます。
まとめ
AI OCRの読み取り精度向上や作業の効率化には、帳票の様式を工夫したり、高品質なスキャナーを使用したり、他データとの連携や
BPOサービスを活用することが効果的です。また、これらの手段を組み合わせることで、確認作業を減らし業務効率を大幅に向上させることができます。
当社では、読み取り精度99%のAI OCR製品「AIRead」と併せて、これらの手段についてご相談頂くことが可能です。
詳しく知りたい場合や、具体的な導入方法について相談したい場合は、ぜひ当社にお問い合わせください。
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